「知っているから」

「明日僕が実家を出てこっそり一人で暮らし始めようとしている」ということを家族が知っていれば、家族は必ずや何らかの行動を起こすだろう。
しかし、彼らは現実に、特に何も行動を起こしていないし、僕とてさしあたり家を出る予定もない。それでは、彼らは僕が家を出ると予定していないということを「知っている」とするべきか、それとも「何も知らない」とするべきか。
このとき、「現状維持であることは差異ではないため、さしあたり非存在である」とするのは乱暴すぎるかもしれないが、理屈が通っていないわけではない。