単語による文脈の同定

動詞によって意味を形成する余地は最後まで留保しようと思っている(いずれ採用しなければならない)。これは「愛媛」「ポンジュース」「蛇口」という3つの単語があれば一つの文脈(述語による一定の連関)が同定できるという発想に動機の端を発する。
人間は、相手が何を話したのかではなく、相手の言葉によって自身が把握してる文脈がどのように変化したのかを見ている。結局人間は、自分の脳と対話することしかできないわけだ。シンプルすぎる命題をエージェントとシステムとのあいだで、文字通り「脳を介さずに」やりとりしているだけでは、いつまでたっても文脈が明らかにならない。対話性を孕んだ二つのシステムは、少なくとも直接的にではなく、チェスやオセロのボードのような、文脈をはっきりさせるための自律的なマシーンを介して接する必要があると思われる。