私は歩く 皆も歩いている

暗闇の中に白い道。私はその中を歩いている。仲間と共に歩いている。
近くの仲間はよく見える。遠くの仲間はぼんやりと見える。すぐ隣を歩いているはずなのに、姿が見えない人もいる。
暗闇の中に白い道があると思っているのは、大方それは自分のものしか見えないからだ。それは薄明るく人のものが見えてくることだってある。しかし人というものはそうそう己の道を人に見せようとはしないものだ。
歩いている。歩いていくうちに、あまり見えていなかった人が少しずつ近づいてくることがある。私にはわからないように、少しずつ離れていく者もある。何を思ったのかはわからない。理由は歩いてきた道に記してあると、学び舎では教わった。しかし極限において、それはまやかしであった。私は自分の足元を、ただ見つめるほかなかった。